あるシスターより
~私が何をいちばん恐れていたか、おわかりですか?それは、イエスを忘れてしまうことだったの。でも悟ったんです。私があの方のことを思い出せなくなっても、向こうは私のことを覚えていてくださるだろうって。~
最近読んだ本です。非常に興味深い本のタイトルですが、アルツハイマー病に関する研究(ナン・スタディ(修道女研究))にまつわる話で、そのナン・スタディを手掛けたスノウドン博士の著書「Aging with grace」の日本語版です。糟屋郡久山町の久山町研究は世界的に有名な疫学研究ですが、ナン・スタディはアメリカの678人の修道女(ナン)を対象としたアルツハイマー病の有名な疫学研究です。この本では、スノウデン博士が、対象となった個人個人のシスターの愛情、葛藤など人生に寄り添った話も紹介しています。シスターたちは修道院に入るときに必ず自叙伝を書き、入会後は同じような生活をしながら社会奉仕を行っていきます。若いときの過ごし方が老年期にどう影響するのか?アルツハイマー病発症は?など調査されています。生前より身体的、精神的評価、そして認知機能を評価し、遺伝子検査もされます。そして死後献脳され、病理学的評価をされています。若いころに書いて保管されていた自叙伝の文章とそのシスターの脳の病理の関連も研究されています。
若い頃から、簡単な文章を書いていたシスターより、複雑な文章を書いていたシスターの方がアルツハイマー病が少なかったとのことです。その他、解剖脳にアルツハイマー病の病理を持ち合わせても、脳梗塞がなければ、アルツハイマー病を発症せずに済んだことも多かったことも言われています。
長く健康な人生を送ったあるシスターは、長生きの秘訣は一日に何キロも歩いたことと話していました。それも70歳からと。この本には、最後まで充実した人生を歩むためのヒントがあるかもしれません。