新書『アルツハイマー征服』

今年6月アメリカのFDA(米国食品医薬品局)でアルツハイマー病の治療薬としてアデュカヌマブが承認されました。対象が軽度認知障害(認知症の手前の状態)か認知症初期に限ってではありますが、アルツハイマー病で初めての根本治療薬になります。しかし、有効性と安全性から賛否があがっています。また、薬の値段も非常に高価になっています。先日17日EU(欧州連合)では、治療薬として承認されませんでした。日本では、承認されるかどうかの決定はこれからになると思います。

 

この本は、これまでアルツハイマー病の原因、そして治療に関わる研究の歴史が書かれたノンフィクションです。アルツハイマー病は、アミロイド・カスケード・セオリー(仮説)で発症し、アミロイド斑(アミロイドβ)、神経原線維変化(タウ)などが重要な変化と考えられ、それに則って研究されているのが主流です。これまで治療薬の開発は失敗の連続です。今回のアデュカヌマブがどのような形になるか分かりませんが、アデュカヌマブに関わらず新薬が市場に出回るまで、とてつもない努力、時間、開発費用がかかること、さらにその陰にはいくつもの開発途中に中止になる薬があることを改めて感じさせられました。

 

2021年12月20日