2ヶ月前に、イギリスのエリザベス女王が96歳で亡くなりました。死因は「老衰」とのことでした。
上図のように日本の新しい死因の割合では、老衰は第3位となっています。しかし、平成17年の死因の統計では老衰は第7位で全体の2.4%しかありません(下図)。実際、私も勤務医時代に死亡診断書を作成したなかで、1度も「老衰」を死因にあげたことはありませんでした。老衰死の定義としては、『高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いる』、とあります。定義が明確でないため、医師が死因を老衰死と診断することの難しさを感じることもあったのだと思います。しかし超高齢者の死亡者数の増加や、今後病院ではなく、在宅・施設で最期を迎える人が多くなるとさらに老衰死の人数は増えて行くと思います。
2015年に放送された(以後数回再放送されていると思います)、NHKスペシャル「老衰死~穏やかな最期を迎えるには~」をまとめた『老衰死』の本を読んでみました。
皆さん共通して考えることは、苦痛なく穏やかに最期を迎えたいということだと思います。この本を読むことで、もっと死を身近に感じることができ、今後いつの日か迎える家族や自分の死について今から考えていくことができると思います。
番組最後のナレーションコメントで、人には生きる力とともに穏やかに人生を閉じる力もあるのかもしれませんね、と結ばれています。