先月より、片頭痛に対しての新薬であるエムガルティが発売されています。片頭痛の痛みの原因物質と考えられているCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に対して作用する薬です。これまでの片頭痛治療薬で痛みのコントロールが困難な患者さんたちに、非常に高い効果で片頭痛発作の予防ができることが示されています。是非当院でご相談下さい。
また、片頭痛におけるCGRPに対しての治療薬は、その他にもたくさん開発中で治験中の薬もいくつもあり、今後、認可され発売されるのが楽しみです。
CGRPは、神経や血管などに作用する重要な物質であることは以前から知られています。今、片頭痛にとってCGRPは治療の標的となる悪者です。しかし、20年前私が大学でくも膜下出血の研究をしていたころ、CGRPは善い者としてとらえられていました。くも膜下出血後に生じる脳血管攣縮という重篤な病態に、CGRPは強力に血管を拡張させる作用をもつため、CGRPを治療薬として投与することでくも膜下出血の予後を改善させるということで熱く議論されていたことを思い出します。CGRPが注目されるのは今も昔も変わりませんが、歴史を感じてしまいますね。