めまい
めまいは「脳が原因でおこるめまい」と「脳以外が原因でおこるめまい」に大きく分けられます。
めまいについて

脳が原因でおこるめまい

脳梗塞や脳出血などの脳卒中が原因でめまいを生じます。急激に始まるめまいの3~5%が脳卒中が原因ともいわれますので頻度としてはあまり高くはありません。特に、小脳や脳幹という場所に生じた脳卒中にめまいは起こりやすいです。目が回る回転するめまいであったり、フラフラするようなめまいであったり、どちらのめまいも生じます。めまい以外にも、物が2重に見えたり、ろれつが回りづらくなったり、半身の手足が動かしづらい・感覚がおかしいなどの症状を伴うことも多いです。さらに頭痛を伴ったり、意識がもうろうとすることもあります。しかし、めまいのみの症状もありますので注意が必要です。脳卒中を専門で診察していても、症状だけでは脳卒中によるめまいと判断できず、CTやMRIを行うことで初めて脳卒中だったと分かることもあります。脳卒中は増悪することもあり、症状が進行し後遺症がひどくなったり、時に命に関わることもあります。脳卒中が原因のめまいは見過ごしてはいけません。救急病院での治療が早期に必要となります。

脳幹梗塞・小脳梗塞が原因の場合

小脳や脳幹には、左右2本の頸椎の骨の中から脳内までを通る椎骨動脈とそれらが合流して1本になる脳底動脈から血流が供給されます。脳幹は小さな場所にたくさんの機能を持っている生命の中枢です。そのため脳幹で生じる脳梗塞(血管が詰まる)はたとえ小さな梗塞であっても、めまいをはじめとしていろんな神経症状が出現します。小脳は主に体のバランスをとる働きをしています。小脳で生じる脳梗塞は体のバランスをとることが困難となり、悪心・嘔吐を伴いやすい特徴があります。小脳梗塞の範囲が大きくなると、死んでしまった脳が腫れて命を落とすこともありますので外科的治療が必要になります。時に、椎骨動脈や脳底動脈の血管壁が避けてしまう動脈解離を生じることもあり、そのときも脳幹や小脳の梗塞を生じます。多くは頭痛を伴います。生命の危険がありますので早期に救急病院での治療が必要になります。

脳幹出血・小脳出血が原因の場合

脳出血は血管が破れて脳を破壊してしまう病気です。脳幹や小脳を栄養する血管破れたときに生じます。脳幹梗塞や小脳梗塞のような症状が出現しますが、脳幹・小脳出血の方が、意識が混濁してよい生命の危険が高くより重篤になります。そのため早期に救急病院での治療が必要なります。救命のために外科的手術が必要なことも多くあります。
椎骨脳底動脈循環不全症によるめまいも知られています。小脳や脳幹に血流を供給する椎骨動脈や脳底動脈が、動脈硬化で狭窄したり、頸椎の変性により首をうごかすことで圧迫されたりすることで、小脳や脳幹への血流不全を生じてめまいを生じることもあります。
また、脳腫瘍(聴神経腫瘍や髄膜種など)が原因で生じるめまいもあります。いずれも良性腫瘍ですがゆっくり増大し、ゆっくり小脳や脳幹を圧迫することでふらつきのようなめまいを生じることがあります。
その他、神経内科的な疾患になりますが、小脳や脳幹などの中枢神経の変性(萎縮したり、神経細胞が死んだりします)が原因で生じるめまいもあります。

聴神経腫瘍が原因の場合

聴神経は音を聞く蝸牛神経と平衡感覚を司る前庭神経を含みます。主に前庭神経から腫瘍を生じます。前庭神経の周囲を取り巻く鞘の細胞から生じる良性腫瘍です。ゆっくり増大し、小脳や脳幹を圧迫します。増大する傾向を認めたり、圧迫が強ければ手術や放射線治療が必要になります。

髄膜種が原因の場合

脳を包んでいる髄膜という膜から発生する頻度の多い脳腫瘍です。200〜500人ぐらいに一人見つかります。偶然にみつかることが多く、ほとんどが良性腫瘍です。時に脳を圧迫して症状を出します。頭蓋内のいろんな場所で発生します。治療は手術で摘出ることになりますが、手術しなくていいことが多いです。脳への圧迫が強ければ手術が必要になります。

脳以外が原因でおこるめまい

耳が原因の場合

良性発作性頭位めまい症
三半規管内の耳石が原因で、頭を動かしたときに、三半規管内に満たされているリンパ液の動きが乱れ、平衡感覚が取れなくなり、回転性めまいを生じます。
メニエール病
回転性めまいと同時に難聴、耳鳴りも生じます。発作を繰り返します。
突発性難聴
メニエール病と似ていますが、難聴が長く続きます。耳鼻科受診が必要です。
前庭神経炎
内耳から脳へ情報を伝える神経が前庭神経です。回転性めまいを生じますが、難聴はありません。めまいが何日も続きます。

目が原因の場合

左右の視力が大きく異なるときにめまいを生じることがあります。眼科受診が必要です。

首が原因の場合

首の筋肉の緊張が強いときにもめまいを生じることがあります。

血圧が原因の場合

起立性低血圧などでは、一時的に脳血流(特に脳幹や小脳への血流)が低下することでフラフラするようなめまいを生じます。

うつ病などの心因性が原因の場合

うつ状態や不安などのこころの不調が原因でめまいを生じることもあります。心因性めまいともいわれます。
気になる症状がある方は、MRI・CTによる精密検査をオススメします。
ご予約はお電話にて TEL:092-957-6657